2008年7月 2日 (水)

加島祥造『老子と暮らす』

老子と暮らす 知恵の森文庫先々週、文京区千駄木の往来堂書店に立ち寄ったときに買ったもう1冊の本です。前から友人に進められていたものですが、買う機会もなかったものです。たまたま立ち寄ったときに手にしました。

著者は英文学者として名を成した方ですが、いろいろな場所の中から大変気に入った長野県伊那谷に住まいを求め、今では住人として伊那谷を定めています。その理由は当然ながら著書の中に記されています。

英米文学で名を成した方としていますが、「老子」との出会いは英語に訳された老子を読んだのがきっかけです。老子の有名な水は方円の器に従うのことがだと思いますが、「水のように」のの言葉は、普通の交互の言葉でとても分りやすい表現です。

「双魚図」、またの名を「大極図」ともいいます。二つのものが一つという表現を形に表したものです。絵は常に見ているのですが、解説としてははじめて納得の行く思いがしました。さらに、西洋は二元論が主になっています。神がいて悪魔があり、主観と客観があり、善悪などの考えです。「二元論からの自由」はよく分ります。「無は同時に有である。」という老子の考えが東洋の我々にはよく理解できます。

「閑」と「自足」も著者の解釈が説得力を持ちます。中庸とか中道を「バランス」と表現していることは、合点がいきます。知恵と自由のシンプルライフと副題がついていますが、伊那谷のシンプルライフから、知恵と自由が生れているのだと思います。漢文を和訓や直訳からは分らない新鮮な感覚を、英訳の中から見出し、口語体で紹介してくれる新しいスタイルでとても新鮮だと思います。

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2008年6月25日 (水)

入江敦彦『イケズの構造』

イケズの構造 (新潮文庫 い 89-1)先週土曜日、文京区千駄木の往来堂書店にふらりと立ち寄った際、「買って!買って!」と言った本です。往来堂書店は、工夫をこらした特徴のある書店と評判の店です。表題以外にも買いたい本が何冊もありました。読みたい本との出会いのタイミングがいいのです。表紙を出している本も多く、店頭に並べられている本は普通の本屋さんより少ないようです。

著者は京都西陣生まれで、現在はロンドンに住まいしておられます。甘里君香さんが東京生まれで京都が気に入って住まいされ「イケズ」を体得して行ったのでしょうが、使っているかどうかは分りません。

著者は「京都は愛されていますが、京都人は嫌われています。」と冒頭から書き初めています。ただ、表から見ている味方と中にいてイケズを感じている見方は、随分と違うと解説しています。陰険ではない。意地悪でもない。皮肉とも違う。イヤミでもない。毒舌とは無関係。天邪鬼とも一線を画します。イジメとは正反対の態度。などこれらのネガティブな言動とは別物としています。

これを理解して言葉のやり取りをすることは、至難の業であるといえそうです。「ぶぶずけ」の話など京都の文化との違いと思います。即ち、隠語で話していることをまともに受け取って理解をしようとしても難しいと言う印象です。恥をかかないために日常のあちこちで小さな恥をかいて人間関係の機微を学ばせようとしていると解説しています。

筆者の言葉を借りれば、「京都は外国。京都人はガイジン。彼らが喋っているのは異国の言葉です。文法や単語を共有しているからって安心してはいけません。」と記しています。文化の背景を理解しないと分らない面があります。先の大戦を「応仁の乱」と意識している京都人。1,200年の歴史の中で生きてきた京都人の生活の知恵、即ち、文化です。

「よそさんはよそさん」という哲学。徹底した個人主義ですと解説しています。ふぐは美味しいのですが、その毒はチリチリとする。と言う感じのようです。東京の人が毒に当たると東京に逃げて帰らなくてはならなくなります。筆者は”常識”という手袋で感電を防ぐ用意をしてくださいとしています。

それに比べて古都奈良への印象は、牧歌的でおおらかで気の休まる印象を受けます。京都の印象は、一寸高みから見ているような感じを受けたのが偽らざる実感です。でも、魅力ある土地です。東京育ちの私どもからすれば、筆者の著書を毒消し代わりに、文化の違いを理解しながらそろりそろりと通ってみたいと思っています。

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2008年6月18日 (水)

甘里君香『京都スタイル』

京都スタイル (新潮文庫)少し前に『イケズな京都』を読みました。その折、著者からコメントをいただきました。友人ともどもわざわざコメントをつけてくれるとはえらいなと改めて気に入っております。それで友人はさらに表題の著書を紹介してくれました。

『イケズな京都』より前に書かれたとのことで、京都と東京の「比較文化論」のような気がします。前著は著者が京都人のなっている感じですが、これは多少恐る恐る遠慮がちに手探りで京都と東京を比較しているように受け取れます。

「洗い替え」などの言葉は、直ぐに気づかない言葉でしょう。「ぶぶ漬け」「掃除しておかないと」の意味は、リップサービスや断りのこと。「京都忍法」と名付ける筆者の表現力。筆者が細かいところを外さずに観察しているところは、既にこのときには身についていたようです。京都人同士の付き合いの真髄を以下のように喝破しています。

まず、よくなったことを見せないこと。
高価な物は隠すこと。
自分のことだけ考える。
お節介をしない。
物の貸し借りはしない。
家の内情を見せない。
常に自分が一番だと意識する。

なかなか東京人にとっては息の詰まるような人間関係であると思います。東京人の2人の女性が必ず東京に帰ると心に誓い、お互いを励ましあっていることを紹介していますが、当然です。なまじの神経では耐えられないと感じます。筆者のように鋭い観察眼で違いを楽しむ余裕を持っていることが大切だと思います。

ただ、日本の原風景がまだまだ京都に息づいていること筆者と同じく貴重であるとの見方には同感です。日本が知らず知らずのうちに失ってきたものは大きいと感じます。日本の原点を感じさせる貴重な文化論であると思います。

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2008年6月11日 (水)

武田哲男『「サービス」の常識』

「サービス」の常識 (PHPビジネス新書 49)わが国は、サービス産業といわれる第三次産業への就業は50%前後と想定されます。ちなみに、第二次産業が35%、第一次産業が15%前後とされ、特に第一次産業、農業・漁業の人口が400万人前後と想定されます。折りしも、食料の自給率が39%と言われている危機的実態を如実に表しています。

サービス産業は、人口の半分が就業している主要産業でもありますが、サービスの本質を理解して対応することが不十分でないかと感じています。経験則で対応する個人企業は、原理原則に則って社員教育していく大手企業の前に駆逐されてしまうのではないかと心配になります。

幸い、欧米からマーケティングやマネジメントについての考え方が導入されており、大手中堅企業は言うに及ばず、商店街連合会など中小企業にも浸透してきています。しかし、資本力が薄く、従業員の意欲も一様でない状況でまだまだ不十分な点が見受けられます。

サービス産業に携わる小生にとって、著者の説く「顧客満足」は傾聴に値する面が多々あります。自らのものにすべく、それぞれの努力が求められます。筆者は、「感動」を超える「幸せ感」にサービスを昇華させることを描いています。

気づき、気配り、気遣いの3つの「気」を身につけ筆者の主張を実践面で生かしていければと思っています。

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2008年6月 4日 (水)

酒井光雄『コトラーを読む』

コトラーを読む (日経文庫 F 56)マーケティングは、近代経営について掛け替えのない用語です。コトラーはマーケティングのオーソリティーです。原書を読むには、力不足ですし、翻訳ものでも骨の折れる仕事です。そこで手にしたのが表題の入門書です。

筆者は学者ではないようですが、コンサルタント会社の社長さんのようです。従って、コトラーの著書を解説をするのでなく、日本の実例にもとづき具体的に解説したものです。

1、コトラーの考え方とその原点

2、顧客起点の企業発想ーコトラーのエッセンス①

3、売り手として考えることーコトラーのエッセンス②

4、コミュニケーション戦略ーコトラーのエッセンス③

5、社会活動のマーケティングーコトラーのエッセンス④

6、コトラーの指摘を実践する日本企業

の6項目に分け、コトラーのエッセンスを紹介する工夫をされています。

コトラーは、マーケティングとは「顧客の価値と満足を理解し、想像し、伝え、提供すること」であり、企業の立場から見れば「顧客を満足させて、利益を得ることだ」とすることがエッセンスだと筆者は理解しています。まさに、それができれば企業の成功が約束されると思います。

具体的業種を選び、その業種をもとにエッセンスを展開しています。参考になることがたくさん書かれています。21世紀のキーワードとして「つながる」技術の発展を掲げています。顧客と「つながる」、パートナーと「つながる」、世界と「つなだる」の3点を挙げています。なるほどと思っています。

解説をもとに、キーワードを生かして事業を考えてみたいと思います。

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2008年5月28日 (水)

吉田新一郎『「学び」で組織は成長する』

「学び」で組織は成長する (光文社新書)筆者がこの本を書くきっかけは、『会議の技法』のなかで

1)コミュニケーションがうまくとれていない
2)上から降りてくるものしか実行できない
3)こなすだけで精一杯
4)考えない人が多すぎる
5)チームとして機能していない

などの問題を共通に抱えていることを指摘しました。しかし、これらの問題が一向に改善が見られないとしています。なぜ、このような状況が続くか考え、上記5項目に

6)学んでいる人が少ない

という項目を加える必要があるのでないかとと考えたからと説明しています。

自分を絶えず磨き続けるために、そして「学び続ける組織やコミュニティ」をつくり出すために、少しでも役に立ちたいとしています。

1人でできる学び、二人でできる学び、チームでできる学び、組織レベルの学び、学びのリーダーに求められることの5章に分け筆者の集めたものの中から汎用性のあるものを記しています。

1人でできる学びは、参考になりました。常識的なことでなく、色々心のこもった分析をしており、役に立つ方法が紹介されています。さらに、参考書なども盛りだくさんに紹介されています。

最終章の「学びのリーダーに求められるもの」には、「こころの知能指数」として知られるEQとの共通点に触れ、著書も紹介しております。企業を構成する社員や、地域の生涯学習組織が求める内容を提供してくれています。

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2008年5月21日 (水)

甘里君香『イケズな京都』

イケズな京都 (ソニー・マガジンズ新書 12)「あやまらない!ケチ!?見栄っ張り!!」と帯に紹介されています。ご丁寧に、イケズの意味まで帯に書かれています。友人から紹介されて読みました。京都の人には申し訳ないのですが、書いてある通りで、ごもっとも、ごもっともと言う感じで読みました。

何回か京都に行った経験はあるのですが、なんとなくなじめないと言う感じを持っていました。まさにこの本が、的確に表現してくれています。表面的にこんな感じと思うことでも、筆者は店の方になんとなく確認もして書いているので説得力もあるし、読んだものをして合点いかせます。特に、食べ物を題材にしたものは、拍手です。人の欠点をあげつらうわけではありませんが、言いえて妙です。

東京生れの東京育ちの筆者は、よほど京都人が気に入ったのでしょう。15年前から京都に住まいを移しておられるん女性です。女性らしく、細かいところに気がついて京都の人となりを微に入り細に入り紹介しています。この違和感が文化の違いということになるのでしょう。違いを理解する力が筆者にあるし、的確な表現が見事です。色々書いていますが紹介できるところは実名を巻末に紹介しています。京都が気に入っているんでしょうね。

上司を酒の肴におだを上げているように、悦に入って読んでいましたが、昨日は台風並みの風雨でした。念のため、花季展に出品予定の小町笑と明日香(さつきの名前)は、室内に入れ、海ほたると舞舟は軒下に避けたのですが、油断していました。夕方帰宅したとき別の4鉢が風にあおられたのでしょう棚から落ちていました。後の後悔先に立たずを地で行ってしまいました。いい加減で用心の足りない東京人と反省しきりです。特に、萌華と初冠雪は、満開でしたので被害は甚大でした。

さらに、ジューンベリーの実が赤く色づき始めましたが、葉っぱが沢山ついていますので、風にあおられて半分倒れてしまいました。紐で2方向を塀に結びつけ注意したのですが、少し根っこが浮いてしまい心配です。このままうまく根付けば、剪定をして枝を切り落とす必要があります。

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2008年5月14日 (水)

松林正己『図書館はだれのものか』

図書館はだれのものか―豊かなアメリカの図書館を訪ねて (中部大学ブックシリーズアクタ 7)以前、『未来をつくる図書館』を紹介しました。この本は、日米の背景を比較検討し、日本で豊な図書館運営を実現する手段を見出したいとした意欲的試みです。前者がNYの図書館を中心にその活動の紹介を中心としていて、図書館活動がよく理解できました。

この著書は、アメリカの12州、30を越える図書館を訪ね、そのうちの幾つかを紹介しています。背景の違いは、前者よりよく分りますが、実現する手段については今ひとつかなと言う感じです。100ページ弱の中に、公共図書館を中心に、大学図書館、専門図書館まで手を広げたことによるのでしょう。

それでも、前者がNYの図書館の紹介が中心であったものが、社会的背景即ち図書館の成り立ちと社会制度(法律の違い)の違いを紹介しています。

公共図書館の成立が、アメリカの初代大統領ベンジャミン・フランクリンの提唱によって創設された時代背景とその後の図書館の設立のモデルになりました。さらに、鉄鋼王のアンドリュー・カーネギーが世界に、2,509館(アメリカ国内に1,679館)の図書館をを建設したことが基盤になっています。

ベンジャミンの図書館は、加盟者の50名が最初40シリング、その後年に5シリングの寄付によって運営されました。カーネギーは、人口1,000人以上の町ならばどこにでも図書館を寄贈する。寄贈額は、住民1人につきドル、受領する街は、用地を準備し、寄贈額の10%を図書館費用として税金で運営を賄うとしています。

そして、両者とも図書館の設立の原則は、自助努力であるとしています。自助努力をする人達のために役立てる施設(システム)であるとしています。

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2008年5月 8日 (木)

長谷部恭男『憲法と平和を問い直す』

憲法と平和を問いなおす (ちくま新書)・・・憲法改正論議には欠けている視点がある。立憲主義と言う視点である。・・・そもそも、なぜ立憲主義と言う考え方が生れたのか。それを探っていくと、戦争と平和の問題に行き着く。・・・そこからは、憲法九条の理解について、日本の平和をいかに守るべきかについて、一定の方向性が導かれる・・・・・

帯には以上のことが書かれています。あとがきにこの本を買うのに迷った方があとがきを見て買うかもしれないとのことで、道しるべ的解説がなされています。本書がどんな方に向いているか、5項目ほど挙げて参考になるでしょうとしています。

まえがきには、冒頭の言葉が記され、憲法論議の学界の通説的な理解ー自衛のための最低限の実力の保持さえ憲法違反であるという理解ーとは異なっている。としています。論を進めるのに問題自体が複雑であり、単純化できないので、我慢して読んでくださいとしています。

素人にはとても難しい内容でした。多数決による決定、民主主義の限界など丁寧に説明がしてあります。公共財としての憲法上の権利などなるほどと思います。憲法に書いてなくても重要なことがあります。例えばプライバシーの保護などです。

そして、根本的に異なる価値観を抱く人々が平和に共存し、社会生活の便益とコストを公平に分かち合う枠組みを作るため、立憲主義にもとづく近代国家が成立する。としています。多数決や民主主義も立憲主義を成り立たせる手段として作用し、立憲主義の下に平和主義が生れると論を進めていきます。

憲法9条が原理か準則かによって解釈が変わるようですが、原理であるとすれば、原理はむやみに変えるべきでないとしています。筆者の論理展開を是とするも、多数が是とするには筆者の書いたこの本を適切に理解し賛同する国民が過半数でなくてはならないとすると大変な作業とエネルギーを必要とするでしょう。

終章の「憲法は何を教えてくれないか」で記しています。「自分で考えはじめた以上は、本書ももはや用はないはずである。」としていますが、ある意味では、筆者がカズオ・イシグロの『日の名残』の引用した部分が的を射てるように思います。示された方向性を定着化させるためにも、今後は、筆者のオピニオンリーダーとしての活動に負う所大であると言えましょう。

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2008年4月23日 (水)

シェイクスピア『マクベス』

マクベス (岩波文庫)先週に引き続きシェイクスピアです。魔女が将来を予言し、その筋書きによってマクベスは、話の展開を進めます。魔女に魂を売って栄達を得るが、引き換えに猜疑を生み出しそのために身を滅ぼすことになります。

日本には悪魔に魂を売り渡すとう発想は無かったと思います。日本の文化に無い内容を読むことは、違和感を覚えるとともに、苦痛でもあります。親友を討ってしまいますが、日本の文化ではありえないと心で思うのです。

奥さんがだまし討ちのために一役買います。夫婦の合作ですが、奥さんの役割は、冷徹と言う感を受けます。やはり抵抗を感じると言うのが偽らざる感想です。

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2008年4月17日 (木)

シェイクスピア『ハムレット』

ハムレット (岩波文庫)今月初めに読んだ『憲法とは何か』の中で、16世紀松から7世紀はじめにかけて宗教観や価値観の多様化された例示として、『ハムレット』と『ドン・木キホーテ』に触れていましたので、読んでみたいと思ったものです。

舞台はデンマーク王室、ハムレットの父国王が毒殺され、王の弟が国王に、王妃のガートルードは、その弟の数ヶ月を経ずして結婚しました。近親相姦を扱ったものです。ハムレットの父である国王が亡霊となってハムレットに復讐を求めます。キチガイを装って復讐を遂げるのですが、その過程の心の変化を扱ったものです。

そして、自らも生を絶ち、別の王家がデンマーク国王を兼ねることになります。自壊作用により滅びてしまうことになります。日本的発想からするとハムレットは隠忍自重して力を貯め、家来と図り、敵を討って自らが王になる道筋を辿ります。

真田幸隆等がその例になると思います。先代が武田に滅ぼされ、敵である武田信玄に使え再び長野県佐久地方を統治します。結果、武田家より永らえることになります。このように、日本では歴史物として近年戦記物として扱われていますが、事例としてなかったわけではないのでしょうが、近親相姦が主題になった書物はありませんのでした。

能についても恨みを持って成仏できない人物を成仏させる話は多くあるようです。日本では農耕文化から精神的バックボーンが育くまれており、ヨーロッパの狩猟文化との間には、精神文化について厳然たる違いがあることを改めて強く感じました。

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2008年4月 9日 (水)

野口嘉則『鏡の法則』

EQ関係の本を探していた折、なんとなく目にとまって購入しました。手元に届いて、昨年度上半期ベストセラー1位と知りました。

鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール現実に起きる出来事は、1つの「結果」です。「結果」には、必ず「原因」があり、その原因は、あなたの心の中にあるのです。つまり、あなたの人生の現実は、あなたの心を映し出した鏡だと思ってもらうといいと思います。(ー本文より)とカバーに書いてあり、100万部突破! と帯に書いてあります。

最初何のことやらわからなかったのですが、とりあえず読み始めました。短い本ですからそれほど時間が掛からないで読み終わりました。途中から涙が出てとまりませんでした。5年ほど前に戦記物(小説太平洋戦争)を読んで以来の涙でした。読んだ人の9割が涙しましたと記されていますが、看板に偽りなしと思います。

素直になることの大切さ改めて感じています。

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2008年4月 2日 (水)

長谷部恭男『憲法とは何か』

憲法とは何か (岩波新書)ここ数年、憲法改正について論議がされています。一般的には、改正に肯定的な世論調査の結果が公表されています。個人的な意見では、憲法改正に前向きな意見を持っています。この本を読んでもう少し慎重にという見方を一方に持つようになっています。

アメリカの無差別の爆撃と広島・長崎の原爆投下したことについて、投下の選択が正当化されないとしています。感情論でなくあくまでも論理的に正当性に疑問を投げかけています。最後まで追い詰めず日本の降伏の条件を緩めての結論もありえたとしています。

政治制度としてアメリカの大統領制度、イギリスの議院内閣制度、に比較して制約された日本、ドイツ型の議院内閣制が優れていると主張しています。これに付随して、首相公選論についても、運用上の問題点を指摘して反対しています。

憲法改正の手続き問題など私ども素人が口先で議論する問題でなく、さすが専門家が広い視野と説明がされています。私どもとしては、単純に「賛成、反対」を即断すべきでないと感じます。特に、日本の根幹をなす特別な法律です。内容も、形態も良く考え、短絡的に結論を出すのでなく、もう少し勉強して慎重に討論も積み重ねる必要があると考えさせられました。

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2008年3月26日 (水)

伊東順子『もう日本を気にしなくなった韓国人』

もう日本を気にしなくなった韓国人 (新書y 179)お隣の韓国については、興味があって何冊かの書籍を読んできましたが、読後に一寸暗い感じを禁じ得ませんでした。この本は、韓国が日本と対等に活動でき、意識的にも変化をもたらしていると主張され、気分的に爽やかな読後感を味わえました。

韓国が日本を見るときに、下から上を見ているようで、自分が下にいるのは、日本のせいだと言うひねた見方をされていたように感じます。日韓併合や遠く豊臣秀吉の朝鮮出兵まで遡って恨みつらみを言われても返す言葉は言い訳になってしまいます。

韓国との国交回復に経済援助などしてきたでないかといくら言ってみても始まりません。日本の援助を含めそれらを活かし、自助努力により韓国経済の発展をもたらし、反省と自信が生まれてきている。それは、前大統領の被害者意識的な主張を排し、今度の大統領に圧倒的多数をもたらした事実が証明しています。だから、日本を変な意識で見る必要がなくなった。韓国が自信を持ってきているのでしょう。

この本は、日本の大学を卒業後、韓国延世大学、梨花女子大学で韓国語を学びを韓国ソウルに滞在する筆者が書いたものです。逞しく生き抜く韓国人の近々の意識の変化を紹介しています。いい方向に変化しているようで喜ばしい限りです。一度、是非この目で見てみたいと思っています。

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2008年3月19日 (水)

公方俊良『般若心経90の知恵』

般若心経は何種類かの解説書を読みましたが、今回は、ひろさちや『般若心経262文字の宇宙』を併読しました。公方氏の副題は、「276字にこめられた生き方の真髄」とされています。262字と276字とこれだけ短いお経で文字数が違うことが不思議に思えます。

般若心経90の智恵―276文字にこめられた生き方の真髄 (知的生きかた文庫)般若心経二六二文字の宇宙 (小学館文庫)
どうでもいいことなのですが、数えてみると276字でした。14字の差があります。ひろ氏の14字少ない理由は、私なりに考えると最初のお経の題目10字と最後の般若心経4字の14字が抜けているのだろうと思います。

ひろ氏の解説には、最初の題目「「摩訶般若波羅蜜多心経」と最後の「般若心経」の解説も載せているので含めて計算することがいいのだろうか。何を数えたらこの数字になりましたとは書いてありません。

般若心経―愛蔵版CD付き
松原哲明『般若心経』によりますとタイトル10文字、般若心経の4文字を含め276文字と記されています。冒頭に信仰信心の違いが説明されています。

自分の外に、阿弥陀様や観音様の像とか画像を置いてお参りしたり祈ったりすることを「信仰」といい、禅宗以外の宗教はそうであるといいます。

一方、禅宗では、自分の心の中に、阿弥陀様や観音様の心を置き、自分でその心を包み、自分がそのまま阿弥陀様や観音様になってしまうことを「信心」というと説明しています。

公方氏、ちさ氏がご自分の知識を総動員して内容を解説しています。それぞれに工夫され例題も例え話も分りやすく、深みがあります。それぞれの見方で理解が深められます。折にふれ読み返し、「般若心経」についての理解を深めて行きたいと思っています。

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2008年3月12日 (水)

ダン・ブラウン『天使と悪魔』下

天使と悪魔 (下) (角川文庫)ローマ教皇の選挙(コンクラーベ)は、密室の中でしかも主要候補者が不在なのでなかなか決まらない。選挙進行役のモルターティ枢機卿は困窮している。そこに前教皇侍従(カメルレンゴ)が外から封印を開き、枢機卿たちに候補者の4人の枢機卿が誘拐されたことを告げた。ラングドンは第3の殺人現場で悪戦苦闘をしいられています。

時間通り第4の殺人が行われます。間一髪、現場にラングドンが駆けつけますが、噴水の中で返り討ちにあいそうです。犯人をやり過ごして、謎解きこの末、やっと隠れ家を探し当てます。これからめまぐるしく場面が変わっていきます。

マスコミは、一部始終をオンエアーしており、世界の耳目がヴァチカンに釘付けです。タイムリミットの12時少し前に「反物質」が見つかります。前教皇侍従がヘリコプターで運ぼうとしており、ラングトンも同乗します。とっさの判断でそのまま上昇し、前教皇侍従が反物質とともに空中に飛び出します。ラングトンも暫くしてヘリから飛び出します。

反物質は、想定の時間通りに爆発します。もし、広島級の原爆と同じ爆発ですといくら高く飛んでも、ローマの町はとてつもない影響を受けるのでしょうが、小説であるところが救いです。この2人も生還するのです。奇跡です。

生還してからが、一波乱も二波乱もあります。迫力も説得力もあります。でも、この筋書きの一部始終を演出していた人物もいます。(小説執筆に十分に構想が練られていた。)反物質の秘密がどうして漏れたか読者の想像外でした。フィナーレである下巻は、その意味では圧巻です。

各巻の口絵が殺人現場の謎解きの具体的説明に役立っています。最後はハッピーエンドと申し上げておきましょう。heart04

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2008年3月 5日 (水)

ダン・ブラウン『天使と悪魔』中

天使と悪魔 (中) (角川文庫)
ほんの数グラムで広島級の原爆に相当する「反物質」を追って、舞台がヴァチカン宮殿に移っています。折りしも次期ローマ教皇の選挙(コンクラーベ)が行われる直前であり、その有力候補の4人の枢機卿が失踪しています。

バチカン市国、マスコミ(BBC放送)、犯人側そして主人公のラングトン、ヴィットリアの2人が錯綜しますが、反物質の爆発までのタイムリミットに追われ、主人公の2人が謎解きを進めていきます。謎解きのヒントは、ヴァチカン宮殿の資料保管庫にあり、イルミナティの謎に挑みながら、4人の人質を1時間ごとに殺すと犯人側から宣告を受けます。

殺人の第一現場を苦労の末探し出しますが、数分の遅れで第一の殺人は既に実行されています。第二、第三と1時間ごとに殺人が行われ、爆発の時間も殺人の実行とともに1時間ごとに迫ってきています。それぞれ一歩違いで犯人と入れ違いになります。

犯人は、殺人現場をマスコミに流し、その報道で世界の耳目がヴァチカンに集ります。テンポ良くストーリーが進展していきます。謎解きもグイグイとひきつけられます。はらはらどきどきで、あっという間の出来事です。やはり「ダ・ヴィンチ・コード」の上を行くかもしれません。こんなにダイナミックな展開は、読んでいて楽しいの一言です。

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2008年2月27日 (水)

ダン・ブラウン『天使と悪魔』上

天使と悪魔 (上) (角川文庫)
世界一の科学研究機関で、想像の世界の産物である「反物質」が秘密裏に生成され、保管法も考案された。その作成者が殺されます。研究機関の所長から主人公ハーバード大学教授のロバート・ラングトンが突然呼び出されます。そう「ダ・ヴィンチ・コード」で活躍したあの主人公です。アンビグラムの焼き印が胸に焼き付けられ、片目を抉られた死体を目の当たりにします。

反物質1グラムが広島の原爆と同じエネルギーを持つと言われと、無公害で通常にコントロールできれば、ごく少量で大都市の1日のエネルギーが供給できる代物です。何重ものセキュリティで厳重に守られ、秘密裏に完成された反物質がどうしてか盗まれました。犯行はイルミナティを名乗る犯人グループの仕業です。

2重、3重の謎が渦巻く舞台が展開し、ヴァチカン宮殿に舞台が移ります。被害者の養女で反物質の保管法を考案した物理学者であるヴィットリアと謎解きをしながら反物質を取り戻しにヴァチカン宮殿に乗り込みます。

「ダ・ヴィンチ・コード」の前に書かれた小説です。「ダ・ヴィンチ・コード」の評判は高いのですが、内容はこちらの方がおもしろいといわれています。確かにグイグイと引き込まれていきます。時間のタイムリミットに追われ迫力ある展開です。中、下が楽しみです。

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2008年2月20日 (水)

海道龍一朗『百年の亡国』

百年の亡国 (百年の亡国)
政治評論家三宅久之氏絶賛!と言う見出しで購入したわけではなく、白州次郎の気骨。の方に魅かれて購入しました。

戦後間もなくGHQのマッカーサー最高司令官の日本への進駐前後から「憲法改正」を主軸としたノンフィクションです。日本の敗戦と米ソのつばぜり合い、ポツダム宣言、原爆、ソ連の参戦など連合軍側から見た大戦の進展状況が見事に描かれています。

法制局で働く主人公の立木一郎、外務省の西村修二、毎日新聞記者の長谷部孝の3人の絡み合いで情景描写が進んでいきます。戦後間もない食料のない貧困時代の事が良く描かれています。卵掛けご飯のくだりは思わずほろりとしました。

後半は憲法改正をめぐる展開です。まさに、日本人に掛けている第2次世界大戦を中心とした現代史そのものです。日本憲法の成り立ちが手に取るように記されていきます。法制局に働く立木が、その憲法施行の日(昭和22年5月3日)に職を辞するのです。

主人公立木が、なぜ退職するかがこの本の本旨であろうと思います。

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2008年2月13日 (水)

亀井俊介『ニューヨーク』

ニューヨーク (岩波新書)
世界中の人種とその文化のモザイクといわれるニューヨーク。時代に先駆ける芸術やエンターテイメントがここに集り花開いてきた。この巨大な都市に自由な「生」の昂揚を感じ魅かれ続けてきた著者が、ブロードウェイ、グリニッチ・ヴィレッジ、タイムズ・スクェア、五番街などの街歩きを楽しみながら、その歴史と文化を語る。と紹介されています。

ニューヨークに到着し、お金のない筆者はホテルを避け、アパートに泊まることを選んだ。しかし、到着した日が日曜日で新聞の広告を見ることができい。ニューヨーク図書館で新聞広告を読んでアパート探しをしたことを紹介しています。

1,「取り引き」の都

2,「下町」を求めて

3,ブロードウェイ

4,タイムズ・スクェア

5,五番街

6,都の奥

7,「もっと大きな」ニューヨーク

の7項目に分けて記載されています。

ニューヨークがインディアンから24ドルで買い取られた。ニューヨークは元アメリカの首都であった。大規模な都市開発。日本と文化に対する考え方の違い。などの興味のある話題的なものと、筆者の専門部門である奥の深い文化論などなるほどと思う。

旅行案内書より気の利いた深みのある内容で、もし、ニューヨークに行かれ機会があるならば必読の書です。

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2008年1月30日 (水)

茨木のり子『言葉が通じてこそ、友だちになれる』

言葉が通じてこそ、友達になれる
韓国語に興味があり手にしました。現在の韓流ブームのくるズート前からNHKで韓国語を教えていた、金裕鴻氏とその教え子でもあり詩人の茨木さんの対談です。

TVで韓国語講座を見ているだけで、あまり上達はしていませんが、隣国のことで興味を強くしています。日本に文化が伝わった大きなルートの一つであり、渡来人も沢山いたであろうと思います。先祖を訪ねれば、朝鮮にたどり着くのは日本国民の多くがそうであると思っています。

文法や漢字語が沢山あることなど日本語とよく似ています。発音が少々難しいのですが、覚えて使う機会があれば、少しはなじんで行くかもしれません。もう少し真剣にやってみようと思ういい切っ掛けになりました。

「言葉が通じてこそ、友だちになれる。」本当にそう思います。

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2008年1月26日 (土)

松本清張『日本の黒い霧下』

日本の黒い霧〈下〉 (文春文庫)
この本を読むのに2週間を費やしました。読んでよかったと思います。書かれた項目は以下の通りです。

征服者とダイヤモンド
帝銀事件の謎
鹿地亘事件
推理・松川事件
追放とレッドパージ
謀略朝鮮戦争

なぜ「日本の黒い霧」を書いたか

まず、昭和35年/1960年にこの本が書かれたことに驚きを感じ敬意を表します。10年と経たないうちに書いたことは賞賛に値します。60歳を過ぎますと各題目を耳にしたことはありますが、内容を理解していたわけではありません。始めて知った事実もあります。

追放とレッドパージ/謀略朝鮮戦争は、非常に興味を持って読みました。なんとなくの理解であったものが、「なるほど」と一本の筋に繋がって理解できたことです。日本人の当たり前の知識として承知すべき知識であると感じます。

特に、現代史を跳ばして習ってきた年代である私にとって、分らない部分がありました。全てが正しいとは思いませんが、合点の行く思いです。

今日のウォーキングは、荒川自然公園コースを5周で1万歩をクリアー。気功教室とジムワークで1時間少々。体重は80キロ丁度でした。

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2008年1月 9日 (水)

松井孝典『地球システムの崩壊』

地球システムの崩壊 (新潮選書)
「このままでは人類に100年後はない!」一寸ショッキングな内容の帯です。

毎日出版文化賞を受賞された書籍です。

初めて聞くような言葉が沢山でてきます。素人にとってはそれだけに難しい代物でした。ただこのままでは、100年もたないということはなんとなく分ります。地球の温暖化、環境汚染など深刻な問題を抱えています。新しい智の体系のもとで、人間圏が1,000年も存在する内部システムの構築が急務だと警告されています。

難しいのですが、地球の成り立ち、恐竜の絶滅、水星、金星、木星と土星がガス状であり、木星の衛星タイタンの探査の価値など興味の尽きぬものがあります。

この宇宙ができて150億年。地球が誕生して45億年。現在の人類が生れて1万年。人間圏の形成。なぜ人類が栄えているのか。など興味深く読みました。地球と同じ天体があるだろうか?ホーキング博士は200万あると言われたそうですが、地球のような水惑星を「系外惑星系」と言うそうですが、現在200ほどあるそうです。

毎年3月の第3週に「月惑星科学会議」がアメリカのヒューストンで開かれているそうです。そして、惑星やその衛星などの探査やその報告が行われているようです。取上げられ方によって世界の耳目を集めたり、集められなかったり、まさに、ここでも情報リテラシーがあるようです。

あとがきで、地球に似たような惑星が20.5光年位のところにあることが発見されたと記されています。そこに向けて何らかの信号を送れば、41年後に返事が来るかもしれないなど夢のある話で結んでおられます。

全部は分らないのですが、興味あるお話でした。

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2008年1月 3日 (木)

佐藤忠男『長谷川伸論』

長谷川伸論―義理人情とはなにか (岩波現代文庫)
映画・演劇好きの2人の友人の推薦です。長谷川伸は、新国劇の脚本家位の知識しかありません。また、映画演劇はほとんど見ないのですが、いわゆる股旅ものといわれる「沓掛時次郎」「瞼の母」「一本刀土俵入り」などは、知っています。

劇場で見た覚えがないので、TVで放送されたものを見て薄々覚えているのでしょう。見に行くという意識のないものにまで、印象が残っていることは、何回も放送されていたのだと思います。

上記の有名な戯曲以外にもその前後に、戯曲や小説を沢山書いておられますが、読んだことはありません。1972年に「長谷川伸全集」16巻が朝日新聞社から出版されているそうです。

筆者は、夏目漱石論が100冊にも及ぶが、長谷川伸論が1冊ぐらいあってもいいと述べておられます。主だった作品の紹介を読んでなるほどと関心をしました。夏目漱石に劣らず、日本人の心が描かれているように感じます。

筆者は、もともと映画評論家であり、演劇や映画の解説も知らないものにとっては、非常に新鮮な思いで読ませていただきました。

忠誠心の二つの道、一宿一飯ということ、下層社会の「いき」の構造、命令と良心、明治時代の教育と負い目の論理、男であること・・・・16項に分けて書いておられます。「意地」「義理人情」など含蓄のある論理の展開は、大変参考になりました。

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2007年12月26日 (水)

井沢元彦『「反日」日本人の正体』

「反日」日本人の正体
一昨年の今頃購入してそのままにしていた本です。

マスコミの怖さは、一つの記事を何万、何十万の人が信じるということです。TVの報道は又違った恐ろしさがあります。一般国民は、限られた情報源しか持っていませんので、マスコミ報道を比較検討してこうではないかと判断できる人はごくまれです。

少し分る方は、TVのニュースを見て、新聞で確認をする。TVはチャンネルを回せば、少し比較ができます。確認をする新聞が数紙あることは限られています。実情は1紙しか読めないという方がほとんどです。

新聞を1紙しか読んでいない方は、その報道によって思考の論理、判断が大きく影響されます。井沢氏は、日本人でありながら反日的な報道をしているマスコミに焦点を当ててこれでいいのかを問うています。

自分の国に対する自信と誇りを持たない多くの日本人がいます。それは、マスコミの影響するところ大です。多くのマスコミの論調が、国家に批判的であることは、多かれ少なかれあるのですが、反国家的な面が強い論調を常に読まされていれば、自国に対して自信も誇りも持てなくなってしまいます。

とりわけ、朝日新聞の論調はひどいと嘆いておられます。TBSの筑紫哲也氏の報道番組もひどかったと事実を挙げて説明しています。拉致問題に対して社民党の取った主張、行動もひどかったこと改めてその理由が説明され、得心できました。拉致問題に対しての外務省の取り組みも問題ありと指摘しています。

世の中には「何も考えない」がゆえに、結果的に「悪に加担」してしまうこともあるのだ。そういうことを2度と繰り返さないためには、先輩・上司とはいえ一度は疑ってみること、そしてその前提として自分の頭で考えてみることが最も必要だ。と書いておられます。

自分の足で立ち、自分の頭で考えること、即ち、主張を持つことが必要だと考えます。その主張を作るため、各方面からの正しい情報を集めることが必要だと感じます。

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2007年12月19日 (水)

松井孝典『人類を救う「レンタルの思想」』

人類を救う「レンタルの思想」―松井孝典対談集
<所有>から<レンタル>へ・・・・・

”新しい文明論”所有欲を制御するための発想転換こそ、地球の諸問題を解決する近道である。と帯に紹介されています。有識者10人と松井孝典氏の対談集です。

人間圏ができて1万年。人間圏を見る目は、俯瞰的視点であり、人間が狩猟採集から農耕牧畜を選択してから形成されたと説かれています。その視点から人間を論ずることを「地球学的人間論」と名付けています。

農耕牧畜は、地球システムの物質・エネルギー循環を直接利用する生き方であり、より多くの人類の生存が可能になる。そこに人類が地球を「所有」するという錯覚が生れた。より多くの人が食糧生産に携わらずに生きていける。さまざまな分業体制が生まれ、内部体制としての共同体が形成され、その求心力として共同幻想が作られた。右肩上がりに代表される「共同幻想」が多くの人に幻想と認識されたとき、人間圏の崩壊が始まる。

私の印象は、人類そのものが、お釈迦様の手の上で飛び回る孫悟空と言う感じです。<所有>から<レンタル>への俯瞰の発想転換なくして人類の生き延びるすべはない、このままでは危ないと警鐘を乱打されている。

新しい視点の話が多く、どの方との対談も盛りだくさんで必読の書と感じました。対談している方々。岩井克人、榊原英資、中西輝政、長谷川眞理子、鷲田清一、水谷三公、植嶋啓司、合原一幸、西垣 通、糸井重里の10人です。

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2007年12月 6日 (木)

池宮彰一郎『四十七人の刺客』下

四十七人の刺客〈上〉 (角川文庫)侍は美しく生き、美しく死ぬもの・・・・・・。価値ある一生を全うし、侍の本文に殉じるため、47人は刺客となる道を選んだ。・・・・元禄十五年12月14日、要塞と化した極寒の吉良屋敷に決戦の火蓋は切って落とされた。新田次郎文学賞受賞の衝撃的デビュー作。 解説・縄田一男 と裏表紙に紹介されています。

この紹介にたがわぬ力作で、大満足です。刃傷の原因の公表されなかったことを逆手にとっての「賄賂」説を流布しプレッシャーを掛け、3月14日の祥月命日に討ち入りがあるか、大石の上京などの神経戦、こうした情報戦に勝利し、上杉側(吉良)を追い込んで行きます。

しかし、自陣営の相次ぐ戦線離脱も重なり、残ったものの身分的軽重に、人の世の薄情さを感じさせます。通常の忠臣蔵は、討ち入り前夜に瑤泉院を訪問することになっていますが、その説は取っていません。吉良邸も徹底して要塞化した設定になっています。

通常の映画等で紹介されている個々の人情話は、一切ありません。隠された事実を史実に忠実ならんと努力しているようです。それが、この池宮の忠臣蔵を魅力あるストーリーに仕立て上げているのでしょう。

薦めてくれた友人に 感謝!!

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2007年11月28日 (水)

池宮彰一郎『四十七人の刺客上』

四十七人の刺客〈上〉 (角川文庫)友人に紹介されて手にしました。「赤穂浪士」「忠臣蔵」と沢山の作者によって書き記されています。映画あるいはTVのドラマとして何回も放映されていました。NHKの大河ドラマで長谷川一夫主演の「赤穂浪士」は随分前に見ましたが、印象に強く残っています。

今までの忠臣蔵と視点が大きく違っています。赤穂浅野家国家老大石内蔵助と上杉藩江戸家老色部又四郎そして後ろ盾になった徳川幕府側用人柳沢吉保の知恵比べに焦点が合わされ、展開されます。

敵役である吉良上野介が片方の主役でなく、後見藩である上杉藩江戸家老が片方の主役です。江戸城で起こった吉良上野介と浅野内匠頭の刃傷沙汰に対して色部・柳沢連合軍による政治的な処理がなされます。政治決着の矛盾点に大石が着々と手を打ちます。その動きが躍動的です。

大石軍が苦労しながら敵役の上野介の首級を挙げるまでの道のりを書き記すものです。連合軍に対しての大石軍の駆け引きが「上」の主要な要素で、その間の大石の配慮・苦悩などが記されています。ワクワクしながら読みすすめています。

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2007年11月23日 (金)

『朝日VS.産経 ソウル発』

朝日vs.産経ソウル発―どうするどうなる朝鮮半島 (朝日新書)遅ればせながら、お隣の韓国に興味が募っています。「なぜ」と言う疑問が沢山ありました。1945年8月15日以降日本でなくなった朝鮮は、どのように運営されていったのだろうか。アメリカとソ連に進駐を受け南北に分断されて48年に夫々独立しましたが、どのように告知されたのか。

朝鮮戦争を経ての日本とのかかわりを、朝日と産経の立場を代表している2人の対談です。隣国との関係を報道機関としてどのように紹介(報道)してきたのか、お互いがお互いの立場を解明しています。読み応えのある対談です。

日本人としてこのくらいのことは、知っていて欲しいと思う内容です。更に興味が湧くとともに、疑問に感じていることなど、自分の国とのかかわりの深い隣国についての知識を高めておく必要を感じます。

丁度NHKで「海峡」を放映しています。深みのある見方ができるように思います。

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2007年11月21日 (水)

黒田勝弘『"日本離れ"できない韓国』

“日本離れ”できない韓国 (文春新書)筆者黒田氏は、在韓国25年の産経新聞ソウル支局長兼論説委員です。帯に「最も日本を非難しながら最も日本の影響を受けている国」として紹介しています。

先週の呉善花さんが日本に好意的で、日本人としてなかなか書ききれないのでないかと思っていましたが、日本人でも的確で冷静な観察眼を持って感情的にならず客観的にに韓国を見ていると敬意の念を持って読みました。

あとがきで韓国の“反日”について「韓国側に事情があるとすれば、これは日本側の努力だけで改善、解消するものでないということになる。したがって韓国の”反日”にはじたばたせず、韓国側の事情が変わるのを待つしかないのだ。」と述べられています。

とかく対韓国については、感情的になりやすいのですが、冷静で長い目で見る見方が必要であることを教わった感がします。靖国問題、教科書問題、竹島問題など韓国は国内向けにこれらをどのように扱っているか。欧米での植民地への対応の仕方、韓国の王政に対しての考え方等々冷静に見ていけば、感情的になっているのは、韓国側であり、日本も感情的になれば同じレベルの泥沼の悪口の言い合いになってしまうことになります。

日韓国交回復に伴う経済支援、そして、国交正常化交渉の過程で補償問題について、日本側が個人補償を提案したのに対し、韓国側はこれを拒否し、政府による一括受け取りを主張し結果その通りになった。このことも外交文書公開で明らかになった。と記されています。

そうすると、従軍慰安婦問題は、まさに個人補償問題であり韓国政府の責任において解決されなくてはならない問題と考えられます。日本人ももっと真実をきちんと理解したうえで対処すべきであると思います。外国から物事を言われて事実を確認しないで、国論を統一できないことでは情けない思いです。

外務省は国益を守ることが仕事であり、もっと事実を国民、少なくともオピニオンリーダーたる重要人物に、日頃から事実が分るように努力することが大切な仕事であると思います。適切な努力を重ねていればアメリカの「従軍慰安婦謝罪決議問題」も違った結論になっていた可能性もあります。

教科書問題など日日問題に外国の力を借りて問題を有利に働くよう画策した勢力があるのも確かですが、もっと事実を見る目を養うとともに、国益を守る観点からも必要な「情報公開」を適切にすすめる必要性を感じます。

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2007年11月14日 (水)

白州次郎『プリンシプルのない日本』