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2008年6月25日 (水)

入江敦彦『イケズの構造』

イケズの構造 (新潮文庫 い 89-1)先週土曜日、文京区千駄木の往来堂書店にふらりと立ち寄った際、「買って!買って!」と言った本です。往来堂書店は、工夫をこらした特徴のある書店と評判の店です。表題以外にも買いたい本が何冊もありました。読みたい本との出会いのタイミングがいいのです。表紙を出している本も多く、店頭に並べられている本は普通の本屋さんより少ないようです。

著者は京都西陣生まれで、現在はロンドンに住まいしておられます。甘里君香さんが東京生まれで京都が気に入って住まいされ「イケズ」を体得して行ったのでしょうが、使っているかどうかは分りません。

著者は「京都は愛されていますが、京都人は嫌われています。」と冒頭から書き初めています。ただ、表から見ている味方と中にいてイケズを感じている見方は、随分と違うと解説しています。陰険ではない。意地悪でもない。皮肉とも違う。イヤミでもない。毒舌とは無関係。天邪鬼とも一線を画します。イジメとは正反対の態度。などこれらのネガティブな言動とは別物としています。

これを理解して言葉のやり取りをすることは、至難の業であるといえそうです。「ぶぶずけ」の話など京都の文化との違いと思います。即ち、隠語で話していることをまともに受け取って理解をしようとしても難しいと言う印象です。恥をかかないために日常のあちこちで小さな恥をかいて人間関係の機微を学ばせようとしていると解説しています。

筆者の言葉を借りれば、「京都は外国。京都人はガイジン。彼らが喋っているのは異国の言葉です。文法や単語を共有しているからって安心してはいけません。」と記しています。文化の背景を理解しないと分らない面があります。先の大戦を「応仁の乱」と意識している京都人。1,200年の歴史の中で生きてきた京都人の生活の知恵、即ち、文化です。

「よそさんはよそさん」という哲学。徹底した個人主義ですと解説しています。ふぐは美味しいのですが、その毒はチリチリとする。と言う感じのようです。東京の人が毒に当たると東京に逃げて帰らなくてはならなくなります。筆者は”常識”という手袋で感電を防ぐ用意をしてくださいとしています。

それに比べて古都奈良への印象は、牧歌的でおおらかで気の休まる印象を受けます。京都の印象は、一寸高みから見ているような感じを受けたのが偽らざる実感です。でも、魅力ある土地です。東京育ちの私どもからすれば、筆者の著書を毒消し代わりに、文化の違いを理解しながらそろりそろりと通ってみたいと思っています。

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