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長谷部恭男『憲法と平和を問い直す』

憲法と平和を問いなおす (ちくま新書)・・・憲法改正論議には欠けている視点がある。立憲主義と言う視点である。・・・そもそも、なぜ立憲主義と言う考え方が生れたのか。それを探っていくと、戦争と平和の問題に行き着く。・・・そこからは、憲法九条の理解について、日本の平和をいかに守るべきかについて、一定の方向性が導かれる・・・・・

帯には以上のことが書かれています。あとがきにこの本を買うのに迷った方があとがきを見て買うかもしれないとのことで、道しるべ的解説がなされています。本書がどんな方に向いているか、5項目ほど挙げて参考になるでしょうとしています。

まえがきには、冒頭の言葉が記され、憲法論議の学界の通説的な理解ー自衛のための最低限の実力の保持さえ憲法違反であるという理解ーとは異なっている。としています。論を進めるのに問題自体が複雑であり、単純化できないので、我慢して読んでくださいとしています。

素人にはとても難しい内容でした。多数決による決定、民主主義の限界など丁寧に説明がしてあります。公共財としての憲法上の権利などなるほどと思います。憲法に書いてなくても重要なことがあります。例えばプライバシーの保護などです。

そして、根本的に異なる価値観を抱く人々が平和に共存し、社会生活の便益とコストを公平に分かち合う枠組みを作るため、立憲主義にもとづく近代国家が成立する。としています。多数決や民主主義も立憲主義を成り立たせる手段として作用し、立憲主義の下に平和主義が生れると論を進めていきます。

憲法9条が原理か準則かによって解釈が変わるようですが、原理であるとすれば、原理はむやみに変えるべきでないとしています。筆者の論理展開を是とするも、多数が是とするには筆者の書いたこの本を適切に理解し賛同する国民が過半数でなくてはならないとすると大変な作業とエネルギーを必要とするでしょう。

終章の「憲法は何を教えてくれないか」で記しています。「自分で考えはじめた以上は、本書ももはや用はないはずである。」としていますが、ある意味では、筆者がカズオ・イシグロの『日の名残』の引用した部分が的を射てるように思います。示された方向性を定着化させるためにも、今後は、筆者のオピニオンリーダーとしての活動に負う所大であると言えましょう。

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